K-meansクラスタリングは、データを「似ているもの同士でグループに分ける」シンプルな方法です。画像分類に応用すると、画像の色や形の特徴でピクセルをグループ化し、特定のエリアを分けることができます。例えば、風景画像なら空や木、地面といった部分を色や形ごとに分類できます。今回は、K-meansクラスタリングの基本的な仕組みや、画像分類での使い方を初心者向けに解説します。
K-meansクラスタリングとは?〜基本の考え方〜
K-meansクラスタリングは、データをK個のクラスタ(グループ)に分ける方法です。「似たものを同じグループに集める」という考え方に基づき、データを分類します。画像分類では、この手法を使ってピクセルを色や形ごとに分けて、似た特徴を持つエリアをまとめることができます。
基本的なステップは次の通りです。
- クラスタの数 K を決める
最初に、分けたいクラスタの数Kを決めます。例えば、Kを3に設定すると、データが3つのグループに分かれます。 - クラスタ中心の初期設定
K個のクラスタの中心(基準点)を適当に選びます。これが各グループの基準点となります。 - 各ピクセルのクラスタ割り当て
画像内のピクセルごとに、どのクラスタ中心に最も近いかを計算し、最も近いクラスタに割り当てます。 - クラスタ中心の更新
割り当てたピクセルの平均を取り、新しいクラスタ中心を設定します。 - 繰り返し処理
クラスタ中心が動かなくなるまでこの操作を繰り返し、最終的に似た特徴のピクセルが同じクラスタにまとまります。
画像分類でK-meansクラスタリングが役立つ理由
K-meansクラスタリングは、特に画像の色や形を分類するのに適した手法です。いくつかのポイントが画像分類に向いている理由です。
- 色や形を簡単に分類できる
ピクセルごとの色の違いや明るさを基準に分けられるため、画像内のエリアを色や形で簡単に分類できます。例えば、自然風景の画像では空、山、草などを色で分けることができます。 - 計算が速い
アルゴリズムがシンプルで計算速度も速いため、大量の画像データにも適しています。初心者でも扱いやすく、短時間で画像分類ができるのもメリットです。 - セグメンテーションに応用できる
画像の中の特定のエリアを分ける「セグメンテーション」作業にも役立ちます。例えば、商品画像で背景と商品の部分を分けるなど、特定のエリアだけを取り出すのに便利です。
K-meansクラスタリングによる画像分類の手順
K-meansクラスタリングを使って画像を分類する流れを具体的に見てみましょう。
- 画像データの前処理
まず、画像データをピクセル単位で数値化し、RGB(赤・緑・青)などの色空間に変換します。画像サイズが大きい場合は縮小してデータ処理を軽くすることもあります。 - K-meansクラスタリングの適用
ピクセルの色情報をもとにK-meansクラスタリングを適用し、クラスタ数(K)を設定します。たとえば、K=4に設定すると、画像が4つのクラスタに分かれ、似た色ごとに分類されます。 - 分類結果の確認
クラスタごとに色や特徴で分けられた画像が完成します。例えば、風景画像なら空、木々、地面といったエリアがそれぞれ分かれて、画像の構成要素がわかりやすくなります。 - 最適なクラスタ数を調整
クラスタ数が多すぎると分けすぎになり、少なすぎると分け方が大雑把になるため、適切なKの値を見つけることがポイントです。
K-meansクラスタリングの応用例
K-meansクラスタリングは画像分類だけでなく、さまざまな場面で使われています。以下はその代表的な応用例です。
- カラーパレットの作成
画像内で特定の色を抽出し、色の傾向や配色パターンを確認できます。デザインやファッション分野では、画像からテーマカラーを抜き出し、カラーパレットとして活用できます。 - 医療画像の解析
MRIやCTスキャン画像において、健康な組織と異常な組織をクラスタリングで分けることが可能です。こうした方法で異常部分を早期に見つけやすくなり、診断に役立てられています。 - 背景と前景の分離
商品や人物の画像で背景と前景を分けたい場合、K-meansを使って背景と前景をクラスタに分けることで、背景を変更したり、前景だけを取り出す画像処理ができます。
まとめ
K-meansクラスタリングは、画像の色や形をもとにグループ化するシンプルな手法で、画像分類やセグメンテーションに非常に役立ちます。計算が速く初心者にも扱いやすいのが特徴で、カラーパレットの作成、医療画像の解析、背景と前景の分離など、多様な応用が可能です。K-meansクラスタリングを利用することで、画像の特徴を分かりやすく分類し、画像データの構成や意味を把握しやすくなります。これをきっかけに、画像分類の入り口としてK-meansクラスタリングを活用してみましょう。